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妄想垂れ流し。 SS駄目な人は注意してね。 基本的にエロパロ版のゆゆこスレで投下したのを載せてます。
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 ・竜児 大河
・一人で出来るもん


「なんで分かってくれないのよ!」

大河が怒り出す。
帰宅をしようとしていたクラスメイトが「またか」というような顔をしている。
だからってこっちだって負けてられるか。

「だから、川嶋とのことは誤解だって!
あいつは俺に気があるんじゃなくてお前の反応を楽しんでるだけなんだよ!」
「違う!ばかちーはあんたのこと…!
ってそうじゃない!私はあんたが私のことを分かってくれないから怒ってるのよ!!」
「分かってるよ!」
「分かってない!!…もういい」
「もういいってなんだよ、じゃあどうすりゃいいんだよ!」
「そのくらい自分で考えなさい、…だから駄犬なのよ」

と冷たい目をして大河は去っていく。


…またこれだ。

お互いいつの間にか惹かれあって、いつのまにか付き合っていた。
別に告白とかはしていないし、肉体関係もないけど。
だって付き合い出したきっかけが

「私たち付き合おっかぁ~」
「お~ぅ」

と、大河は自分専用のクッションに座ってテレビを見ながら、
竜児は晩御飯の仕度のためにキッチンに立ちながらだったのだから。

 


そして突然仲がよくなったというか、
教室でイチャイチャしだした二人をみた川嶋が冗談のように

「あんたたち実は付き合ってんでしょ~?」

と言ってきたので、

「「うん」」

と大河と二人同時に頷いてみせた。
さも当たり前の言い、平然とおそろいのお弁当を食べている二人をみて
クラス中、時に川嶋は豆鉄砲が鳩を食らったような顔をしながらあごを落としていたのが印象的だった。

 

クラス公認の仲になったはいいが…川嶋のちょっかいは激しさを増した。
俺が大河と居るところをみると必ず

「た・か・すく~ん」

と近づいてきて腕を組んでくるのだ。

大河はそれをみて怒り出す。
大河の反応を楽しんでいるだけなのだろうが、その矛先になるこっちはたまったもんじゃない。
川嶋のやつ、何が楽しいんだか。

 

…そして、今日もそんなことがあったのだ。
ちょっといつも通りじゃないのは、大河がいつもより怒ったこと。

 

…まぁ、川嶋の胸が腕に当たってにやけたのは、正直悪かったと思うけど。

…うん、だってすごくやわらかかった…し。


はぁ…っと竜児はため息をもらす。

「なんか…最近…すれちがってばっかだな…」

ポツリともらしてしまう。
…自分は、なぜ、大河と付き合ってるんだろうか。

 


――――そして、ついに、その日は晩飯にも大河は顔を出さなかった。


それどころか、その次の日も。その次の次の日も。


朝は迎えに行くとすでに出ている。


学校では明らかに避けている。


帰りも一人、そそくさと帰ってしまう。

 

――――大河の考えていることが、分からない。

喉を通らない晩飯を無理やりかき込む。
これ以上は大河のことを考えないように、まだ21時なのに布団にもぐりこむ。

――――大河は、自分がいなくても大丈夫なのだろうか。

最近寝不足だったせいですぐに眠気が襲ってくる。
意識を沈めていく。
深い…深い…闇の中へ。

 

 

 

夜中、午前2時。

ヴヴヴヴ…ヴヴヴヴ…ヴヴヴヴ…

「…んぁ?」
携帯の振動で目を覚ました。
こんな夜中に…一体誰なんだ。
暗闇のなか手探りで携帯のある辺りを探る。
いつもの場所にあった携帯を開きディスプレイを覗く。

そこには『大河』の字。
ドクンと。
激しく心臓が脈打つ。
はやる気持ちを抑えつつメール画面を開く。


タイトル『高須竜児様へ』
本文『少しお話したいことがあります。うちにいらしてください。』

 


…なんなんだ、この改まった文章は。
まだ寝足りない頭をむりやり起こし、立ち上がる。
軽い外行きの服に着替え、大家を起こさないように階段を下りた。

 


着くまでの数分足らずが、すごくもどかしかったのに。


大河の家で見たのは――――――

「なんだ…これは」


初めに竜児の目に入ったのは、エプロンを身につけ仁王立ちの大河。
次に目に入ったのは…
舐めても問題もなかったはずの、愛すべきキッチンの惨状。

「うぉぉぉぉぉ…!」
「…ソファに座ってなさい」
「お前!なにがあったらこんなに酷いことになるんだよ!」
「いいから、ソファに座ってなさい駄犬」

有無を言わせない目。手乗りタイガー、本領発揮だ。

「う…」
「悪いようにはしないから。…こっちは振り向かないで」

しょうがなくキッチンに目を背け、ソファに座る。
こんなときの大河には逆らわないほうがいいだろう。
また綺麗にしてやるからな、キッチンちゃん…。


パリン。
…皿が割れる音がする。それも一回だけでなく、何回も。
なにをしているのか。
止めたいが振り向けない。
約束を破った大河はそれはもう恐ろしいだろうから。
竜児にできるのは「うぉぉぉぉぉ…」と、耐えることだけだった。


そうやって身を悶えながら待っていると、お盆をもった大河が現れる。
あいかわらずブスっとした顔をして竜児の前の机にお皿を置く。

中に入っていたのは。

「これは…肉じゃが、か…?」
煮崩れした、ちょっと不恰好な、でも確かに肉じゃがだった。


「…みのりんが」
「え?」
「みのりんが…男はこれに弱いって」

そうつぶやく仁王立ちの大河は、わずかに顔が赤い。

「あのあとばかちーが謝ってきたのよ。…あんたとは、なんでもないって」
「だからね、別に仲直りってわけじゃないけど。――これ」

自分と、仲直りするために。
目玉焼きひとつまともに作れなかった大河が、料理を?

「あんたのよりおいしくはないけど…。別に、簡単だったし。こんなんであんたが喜ぶなら」

そういう大河の目の下にはクマのあと。
ここ数日夜中まで…ずっと、自分のために頑張ってくれていたのか。
喜びが、湧き上がってくる。
ずっと、ずっと、自分のことだけを考えていてくれたのか。

「…」
「…食べないの?」

ずっと黙っている竜児を不審に思ったのか大河が聞いてくる。
ちょっと不安そうに、肉じゃがと竜児を見ながら。

「…おう!これはうまそうだな!いただきます!!」

箸をつかんで肉じゃがにがっつく。
これ以上大河に不安は与えない。
たとえ不味くったって…

うを!ホントにうまい、塩と砂糖すら間違える大河がこんなの作れるなんて!

「うまい!これ、ホントにすごくうまいぞ!」

素直に感想を言う、手が止まらない。
そういえば最近は全然まともにご飯を食べていなかったな。
おかげでこのくらいすぐ完食してしまうだろう。
そんな竜児の様子をみて、心配そうにしていた大河の顔に笑顔が浮かぶ。
そしてチョコンと竜児の隣に座ると…スー、スーと寝息を立て始める。

「…」
ありがとうな、大河。
完食すし、食器をおいて、横で寝ている彼女を見つめる。

―――どうして付き合っているのか。簡単じゃないか。

ドジだけどいつも一生懸命で。
そんな大河が横に居てくれるのが嬉しいから。
そんな大河の横に居たいから。

 

―――――安心した竜児に眠気が襲う。

 

横に居る彼女の頭をなでる。
ちょっとくすぐったそうに。
まだ眠いのだろう、おぼろげにちょっと目をあけ、竜児をみて、微笑む。

 

 


―――この世界の誰一人、見たことのないものがある。
それは優しくて、とても甘い。
多分、見ることができたなら、誰もがそれを欲しがるはずだ。

だからこそ、誰もそれを見たことがない。
そう簡単に手に入れられないように、世界はそれを隠したのだ。

 

 


「…すきだよ、りゅうじ」
寝ぼけながら、猫なで声で。

 

 

だけどいつかは、誰かが見つける。
手に入れるべきたった一人が、それをちゃんと見つけられる。

 

 

「俺も…好きだよ」
今までのどんな声よりも優しくささやく。

 

 


――――――そういうふうになっている。

 

 

えへへ、と。
大河は顔を赤くしてほほえむ。
「初めて…やっと…言って…くれた…ね」

 

 

そのまま二人は眠ってしまう。
手を握ったまま。

深い…深い…幸せの中へ。

 

end

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プロフィール
HN:
155 ◆p9YEao7oZg
性別:
男性
趣味:
とらドラのSS書き
自己紹介:
大河超可愛すぎ

竜児と大河に幸あれ

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