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・???
・オリジナル設定
高校二年生になり、心機一転。新しいクラスになり数日が経った頃。 …私には、最近気に食わない奴がいた。
私と親友が話していると、チラチラとこちらをみてくる男子。私より前に席にいるんだから見てるのバレバレだってのに。
とりあえずじっと睨んでおく。大抵の奴ならこれで目を合わせようとしなくなるんだ。
そして案の定、そいつも慌てて目を背けている。ふんっ、バッカじゃないの。
そんなに私の親友がみたいなら勇気でもだして話しかければいいじゃないの。まったく。男は全員死ねばいいのに。
「でさ~! ……ん?どったの??」
「ううんなんでもない。それよりなんの話だっけ」
えー聞いてなかったのかよーちゃんと聞いてろよー!と猛抗議の親友。
やばい、バカ男子を睨みすぎて親友の話なんかまったく聞いていなかった。
そしてまたこれだ…親友と話し出すとチラチラこっちを見てくる。
ああまったく意気地がないったらありゃあしない…こんな蛆虫みたいな奴が同じ空間にいるだけでさぶいぼが…。
***
それは下駄箱に入っていた。
授業も終わり、下校時刻。親友はソフトボール部で部長を務めているので一人での帰宅だった。
そうして帰宅しようとして下駄箱を開けるとそこには一通の封筒が。
『屋上で待ってます』
…はぁ、またこれか。
その少女は、本人は自覚はないが容姿端麗、お人形さんのような子だった。
入学当初はその外見に惹かれ告白してくるものが後をたたず、全部切り捨ててはきたけれど未だにたまにこんなことがあるのだ。
それにしても。
「…てかアンタ誰なのよ。名前くらい書きなさいよ、どれだけドジなのよ…。」
とりあえず、こんなバカはさっさと切り捨てて帰ろう。ああ男ってホントにうざい。
そう思いながら気だるげに屋上に向かうのだった。
***
「げっ…なんでアンタこんなとこにいるのよ」
少女の目の前には、最近クラスでチラチラ見てくる気に食わない男子が。
こいつ、私の親友を見てたんじゃなかったのか。
少年は、顔を真っ赤にして俯いている。
「…で、なんなのよ」
ある程度内容の検討がついているのだが、わざと知らないふりをして急かす。
それにしてもじれったい奴だ。さっさと言ってしまえば楽なものを。
「……あ、う。」
「聞いてあげるから、早くしてよね」
「あ、あのさ俺…」
「うんうん」
「俺、お前のことが好きなんだ!」
「ごめん無理。はい却下」
「ちょ!少しは悩むとかもなしかよ!そんなとこも好きだけどさ!」
「はいはい…それじゃあね、私早く帰りたいから」
呆然と立ちすくむ少年を尻目に、少女は屋上から去っていく。
はぁ、早く帰ってママのご飯作らなきゃ…。今日はパパも久しぶりに休みだし、久々に料理教えてもらおうっと。
そんなことを考えながら階段を降りていた。
後ろからはさっきの少年がなにか叫びながら追いかけてきているような気がするが無視無視…。
と。
「うわぁ!」
という声。
それとともに少女の横をすさまじいスピードで何かが転がり落ちていく。
目の前の壁にぶつかって止まったのは、さっきの少年。
…しかもちょっと泣きそうな顔。男のくせにこいつはまったく…。
「はあ…。なにしてんのよ、ほら、起きなさい」
とりあえず手を差し伸べて立たせる。少年は傷だらけだった。
…どうやったら、転がり落ちただけでそんな怪我をするのよ…。
でも当の少年は平気そうな顔。けっこう丈夫なのかもしれない。
「あ、ありがと…」
「…別に。それよりアンタ、制服ほつれてる」
「うあ…ま、まぁいいんだ、こんなのいつものことだし」
…どこかしら、母親に似ている気がする。ドジなところとか。すごくドジなところとか。かなりドジなところとか。
それにしてもほつれた制服が気になるなあ。自分は父親に似て案外潔癖症なのかもしれない。
「…うーん。いま裁縫道具持ってないわ」
「い、いいよそんなの!」
「なーんかアンタほっとけないのよね…とりあえずウチに来て。ほつれだけでも直したげるから」
「…!ありがとう!やっぱお前すごいいい奴だなぁ!」
「そんなんじゃないっての。さっさと行くわよ」
「うん! …あのさ、友達からじゃ、ダメかな…?」
「…」
「俺、もっと高須のこと知りたいんだ!」
「…」
「…高須?」
「…いいわ。アンタといると、なんか気が楽だし」
はしゃぐ少年。それを置いてズンズン歩く、ちょっと目つきの鋭い可愛い少女。
両親は、娘が始めて連れてきた男友達に驚いた。
――――そして、少年が櫛枝と名乗って、何故かさらに驚いていた。
end