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妄想垂れ流し。 SS駄目な人は注意してね。 基本的にエロパロ版のゆゆこスレで投下したのを載せてます。
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・竜児 大河 櫛枝 北村 川嶋 
・のほほん系
 

新装開店のお好み焼き屋にて、竜児は至福の時を過ごしていた。

「ほふ、ほふ。うめえ!うめえよこいつ!」
「高須くーん?実乃梨ちゃんばっかじゃなくて、こっちにもお好み焼き回してほしいんだけどなあ?」
「お、おう。悪かったな」
「さすが高須だな、焼き具合も味もバッチリだ」
「おう、そうか良かった」
「竜児、こっちも回って来てないわよ」
「おう……って!十分回しただろ!お前一人で何枚食ってんだよ!?」
「…ちっ。食い放題に来てまで小さいこと言ってんじゃないわよ」

まさに、お好み焼き奉行を満喫していたのである。

 

―――時はさかのぼり、昨日。
突然櫛枝から、お好み焼き屋に行こう!と誘われたのだ。

なんでも大橋高校の近所に新しく、食べ放題のお好み焼き屋が出来たらしい。
ソフト部の櫛枝の後輩のレポでは、味も悪くなく飲み物もフリーで一人1500円となかなか良心的なお値段。
何より、櫛枝に誘われたのに断ることが出来るわけが無かった。

 

「…それにしてもアンタ、やっちゃん大丈夫なの?飢えてない?」
心底心配そうな顔を向けてくる大河。
それもしょうがない、やっちゃんこと竜児の母親である高須泰子は、呆れるくらい家事能力0なのだ。

「おう、たぶん。冷蔵庫に晩飯あるって書き置きしてきたしな」

……それでも心配なのはマザコンゆえか。
気を取り直して、次のお好み焼きを焼こうとヘラを握った時、
「待ったあ高須くん!」
「く、櫛枝!?なんだ!?」
想い人に突然手を掴まれたのだ。

「いやあー、さっきから高須くんばっか焼いててちっとも食べてないと思うてな。
 ちょいっとこの櫛枝めに焼かせてもらえはせぬか」
「あ、いや、俺は別に焼くくらい構わないぞ」
「いやいや」
「そ、そうか、ありがとう。……じゃあ櫛枝が焼くのを食おうかな」

むしろ焼くのが楽しい、と言いたかった竜児だが、ふと櫛枝にヘラを渡した。
そう、男なら誰もが憧れる、好きな女の子の手料理が食えるチャンスだと思ったのだ。

「……おいこら駄犬。アンタにみのりんの焼いたお好み焼きを食う権利はない」
アッサリと大河に見破られたようだったが。

「散々焼いた俺にその仕打ちかよ……ひ、ひでえ…」
「ふん、竜児にはイカで十分よ」
大河は、川嶋がはじっこで細々と、具であったイカを焼いているところからヒョイっと強奪して竜児の皿に乗せる。

「あ、テメェクソとら!人のイカ返せ!」
「ばかちーは心が狭いなあ、デカイのは胸だけか」

売り言葉に買い言葉だ。川嶋も大河の暴言に「んだと!」と今にも掴みかかりそうなご様子。
たかがイカ、されどイカか……。食い放題なんだからまたイカ玉を注文すればいいだけだろうに。

「川嶋落ち着けよ。ほら、イカは返すから」
竜児は自分の皿の上に乗せられていたイカを、箸でつまんで川嶋の皿に乗せてやる。
それで一応は満足なのかケンカ腰な態度は止めたが、今度はなぜかイカと竜児を何回も見比べる。
なんなんだ一体。

「高須くん、デリカシーなさすぎ…。箸の反対とか使ってよねー、これじゃ間接キスになっちゃうじゃん」
…なるほど、それが不満の原因か。
同姓同士ではけっこう当たり前なことなのだが、異性間では話が違う。
大河も普段から、竜児の箸を使うくらいなら割り箸を使う!いやむしろ素手!と主張するくらいだ。
割り箸を使わせるなんてMOTTAINAIからもっての他だが。
大河には割り箸を使う代わりに、日々消え行く森林たちのことを想ってほしい。

「すまねえ。今新しいの注文するから」
そうして店員を呼ぼうとするが、川嶋に「いいよ別に」と止められる。

「別に私、高須くんのこと何とも思ってないし。平気よ平気」
言いながら川嶋は皿に乗せられていたイカをヒョイヒョイっと口に放り込んだ。
気にしないでくれたのは良かったが、なんだか複雑な気持ちだ……。
いや川嶋になんとも思われてないのは分かっているが、それでも直接言われると複雑だ。

「…ツンデレあーみん、か。いやデレてないからツンツンあーみん?」
「たまには素直になってもいいんじゃないか、亜美」
川嶋をジト目で見る櫛枝と北村。
素直に、などと言ってるが、川嶋は十分素直に感想を述べたと思うんだが。
そう、竜児が傷つくほど素直に。

「なんのことか亜美ちゃん分かんなーい」
川嶋はすっとぼけてるし。
「……」
大河はなぜかこっちを睨んでるし。――この状況に、竜児は全くついていけてなかった。
とりあえず場の空気を変えようと、適当に話題を振ってみる。

「そ、そうだ櫛枝。そろそろ新しいの注文しようぜ」
「ん? んっふっふー。ワトソンくん、そうくるだろうと思ってすでに注文しておきましたよ。俺はこいつを召喚するぜ!」
と、櫛枝が言うのとぴったりのタイミングで店員が現れ、机の上に注文の品を置いていく。
そうして並べられた数は、おもわずゴクリと唾を飲み込んで言葉も出ないほど。

豚玉にモチ玉、チーズ玉、明太玉、イカ玉、カニ玉を…2つずつ。合計12個分だ。
あ、カニ玉って言ってもあの『卵を使ってふんわりおいしく出来ました』って奴じゃなくて、お好み焼きの具+カニってだけだぞ。
そんな誰に向けたか分からない言い訳を、竜児は心の中で呟く。
……それにしても、

「ちょっと、…多すぎ、じゃないか?」
「これは……圧巻だな」
「さすがの私も、コレを食べきる自身はないわ…」
「…信じらんない…ありえないっしょ……」

やっぱり量が、多すぎる。
一人二枚ずつ食ってもまだ余るし、というか竜児以外は、散々竜児が焼いたのを食っているので腹の空き容量も少ないはず。
そんな状況で、この量。
いくら食い放題とはいえ残せば罰金だし、なによりMOTTAINAI。
4人が呆然とお好み焼きの具を眺めている中、櫛枝だけは元気に次々と具をかき混ぜていた。

「まだ俺のターンは終わらないぜ!俺はこいつらを生贄に、」
と言いながら、かき混ぜた具を片っ端から鉄板に乗せていく。
鉄板をお好み焼きが丸々埋め尽くし、そこで竜児はやっと理解した。
大河も、櫛枝のやりたいことが分かったのか目を輝かせている。

「お好み焼きの巨神兵を召喚!」
要はあれだ。バケツプリンと同じだ。
誰もが一度はやってみたいと思うような、櫛枝曰く女の欲望番街地。
女でない竜児もこれには少し興奮する。なんだかよく分からない高揚感がある。
鉄板一面を覆うお好み焼き。壮観すぎる。

「いやー、やっぱお好み焼きって言ったら、やりたくなるよね」
竜児も大河も北村もウンウン、と頷き、川嶋も「ガキくせー……」とか言いながら写メっている。
そうして数分が経ち、……いよいよ裏側とご対面、ひっくり返す時だ。
全員が固唾を呑んで見守る。
よく見ると他の客もほぼ全員がこちらを凝視していた。

「それじゃ、いくよ。…………ちぇすとぉーー!」

櫛枝のなぞの掛け声?と共にひっくり返されるお好み焼き。


…途中で空中分解するお好み焼き。


……無残にもグチャグチャに鉄板に落ちるお好み焼き…。


持ち上げる勢いが強すぎたのか、櫛枝の右手のヘラに乗っていたお好み焼きは、隣の大河に向かって飛んで……。
「あっちい!?」
見事、大河の顔面に命中。

「た、大河!!大丈夫か!」
急いでお好み焼きモドキを払い、ハンカチをグラスの水に濡らして顔にあててやる。

「ご、ごめん大河!大丈夫!?」
「逢坂、火傷してないか!?」
「なんでアンタ、いざってときだけ鈍いのよ…!」
全員がアタフタしてる中、大河はなんとか「う、ううう…」と復活。

「まだ焼けてない部分だったし、なんとか大丈夫…むしろ生焼けの感触が不愉快すぎるわ……」
それは不愉快だろう、ベチャっていってたし。
大河が無事な様子をみて胸をなでおろす竜児。
なんたって火傷をしたら、それを世話するのは竜児なのだ。
手負いの虎はそれはそれは不機嫌だろう。

……なにより、大河に怪我が無くてよかったと、心から思う。

「…逢坂に怪我がなくて、よかったな高須」
北村にポンと肩を叩かれる。
なんだか暖かい目でこっちを見ている北村。川嶋なんかは呆れてやがる。

「あーあ、また高須くんはチビタイガーが独占かー」
「大河は、高須くんに任せて……大丈夫だね。いやあ、複雑なき・ぶ・ん」

三人してニヤニヤとこちらを見ていた。

***

とりあえず、仕切りなおし。
グチャグチャになったお好み焼きを、形は悪いが整えて焼いた。

「おう、ここらへんモチとチーズが一緒にはいってる。アタリだな」
モチーズゾーンが丁度竜児の前にあった。
全部混ぜてしまったので、どこが何味だか分からないところが闇鍋チックで怖い。

「うえー、ここチーズとカニだ。竜児ぃー、そこ頂戴」
そう言って自分の皿を差し出してくる大河。
どうやら大河の前はハズレゾーンらしい。確かにチーズとカニって微妙だ。
苦笑しながら、今度は気を使って箸の反対でとりわけようとすると、

「ばかちーには箸の反対使わなかったでしょ。私もいいよ」
なぜか大河に止められた。

「おう……でもいいのかよ、その間接…キスとか…」
「ばかちーにしたことが私に出来ないっての?」
「そういうことじゃなくってな、」
「ああもうごちゃごちゃうっさい!いいっつってんでしょ!」
なんなんだコイツは急に。気遣いの高須の本領発揮を見せようと思ったのに……。
そうして他の三人はまたニヤニヤしながら「あらあら」とか言っているのだった。
よく分からないが変な勘違いしてるな…と思う。
でもまあいいか、とも思う。
櫛枝に誤解されても、北村に誤解されても、後で解けばいい。

だから今はみんなで楽しい時間を過ごそう。

大河が隣に居て、
櫛枝がよくわからないことをして、
北村が脱いで、
川嶋が呆れながらもつっ込んで。

どんな味が当たるか分からないお好み焼きみたいに。
どうなるか分からない5人だから。

不思議な味のお好み焼きを食べながら、竜児はそう思うのだった。

 


end

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プロフィール
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性別:
男性
趣味:
とらドラのSS書き
自己紹介:
大河超可愛すぎ

竜児と大河に幸あれ

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