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妄想垂れ流し。 SS駄目な人は注意してね。 基本的にエロパロ版のゆゆこスレで投下したのを載せてます。
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・竜児 大河 その他
・竜児がテライケメン
 

巨大分譲マンションのおかげで日の光は遮られる様になったが、それ以外はずっと変わらぬ高須家の風景。
テレビではグラサンがお馴染みの人が朝の定番番組で「明日来てくれるかな?」とこれまた定番のことを聞いている。
うちはまったく変わらないよな、と竜児はひとりごちる。
そう、変わらないのだ、

「…竜児ぃ~。ヒマー」
「おう、奇遇だな。俺も暇なんだ」

…大河が入り浸るようになった以外は。

相当暇なのか、大河はテレビの下の棚にしまわれているゲームを漁り出した。
と言ってもなんだかんだ大河も竜児の家に来るようになってから相当経つので、ゲームはあらかたやりつくしているのだが。
それでも適当にゲームソフトを引っ張り出しては「飽きた」「これも飽きた」と次々投げ出していく。
そうして棚からゲームフソフトをずべて投げ出して、それを竜児が戻して全て元通り。
結局また「暇だー」のやりとりに戻るのだった。

「ヒマー、ヒマー、ヒマー、ヒマぁー」
ゴロゴロ転がって暇ですアピール、しかし生憎、高須家は逢坂家よりも狭いのですぐに箪笥にぶつかり「ぐおっ…!」と悶絶。
……土日に華の高校生がこれだけ暇なのだ、まだまだ日本は平気だろうと思う。

「…どうしようもないんだから、大人しくテレビでも見てろよ」
「ご主人様が暇だって言ってんだからなんか考えなさいよ、ホント使えないわね…」

大の字でグッタリしている大河に、竜児は「そういえば」と、思い出したことを言ってみた。

「漫画喫茶に行って見ないか?」
「……漫画喫茶?…あんた、私を個室に連れ込んで変な事する気じゃ……あーいやらしいー」
そんな発想をするお前がいやらしいんじゃ…と言いかけて竜児は口を噤んだ。
言ったら最後、自分は無事では済まないだろうと分かっているからだ。

「…そんなことする気はねぇよ。A組の村瀬に『とらドラ?』ってマンガを薦められたんだ。それをちょっと読んで見たくてな」
「あー、なんか名前だけは聞いたことあるわ。恋愛もののやつでしょ」
「おう。この間完結したみたいだしな、一気に読んでみようかと思ったんだ」
「ふ-ん……まあいいわ。こんなところにいるよりはマシか」
「こんなところの住人に養われてるくせに、お前は何様なんだ…」

その言葉を聞いた大河はさも当たり前のように、貧弱な胸を前に突き出し「ふん」と一言、

「大河様よ」
と言い切ったのだった。

***

漫画喫茶は駅前からすぐの位置にあった。
雑居ビルの一室で目立たないという感じだが、意外に繁盛しているのか人の出入りはそこそこあるようだった。

「こんなところに漫画喫茶なんてあったんだ。前はよくここら辺使ってたんだけど気づかなかったわ」
「お前弁当屋しか使ってなかっただろ。ここら辺意外となんでもあるんだぞ」
都会とも田舎とも言えない中途半端な場所なのだ、ここは。

「い~らっしゃいませぇ~」
……店員の声が妙にダンディリズムでいい声だが、気にしたら負けだ。
「うわっ、声うざ……」
そんな竜児の気持ちなんかまるきり無視で大河は簡単に暴言を振るうのだが。

「3時間パックで1000円か。30分ごとの自動延長よりパックの方が安いんだな」
「どうせ晩御飯までやることないんだし、いっそ6時間1700円のでいいんじゃない?」
「そうだな、それじゃあ6時間パックを2人でお願いします」
「かぁ~しこまりましたぁ~。お席はペアシートでよろしいですかぁ~」
ペアシート……その響きで竜児は心臓が飛び跳ねたような気がした。
教室ではみんな分かってくれているが、外では自分たちはカップルの様に見えるのではないか。
いやこの場合ヤクザと騙されて個室に連れ込まれる幼女だな……。と考えて落ち込む。
大河は別々の席でなくていいんだろうか、とチラリと大河を見る。
「……」
非常に、不本意そうな顔だった。
おそらく竜児と同じようなことを考え、竜児とカップルと見られたのが不服だったのだろう。
「…値段は変わらないんだし、別々の席にするか?」
「……それじゃあ同じ漫画読めないじゃない。私も『とらドラ?』読みたいし。非っっっ常に遺憾だけどね、ペアシートでいいわよ」
店員はその会話で納得したのか、6時間パックのペアシートで席をとってくれたのだった。


部屋は意外と狭かった。ペアシートなんて大層な名前がついている割には机とソファーとライトがあるだけで、広さはせいぜい2畳といったところ。
飲み物は飲み放題、食べ物も注文すればあるし、そこらへんは快適だな、と竜児は思った。
上着を脱ぎ、大河と手分けして漫画と飲み物を取って来る。
いざソファーに腰掛けて『とらドラ?』を読み始めたのだった。
そうして読み始めてしばらくして、
「……これ、そのまんま私たちじゃない」
と大河がもらした。……まさにその通り。
主人公が深夜寝ているところにヒロインに襲われ、それがきっかけでお互いの想い人と上手くいくように手助けしあう、という話だった。
「このヒロイン、ドジなところとかお前にそっくりだな……。作者も現実にラブレター入れ間違えて、更に中身を忘れるやつがいるとは思わないだろうな…」
「…そんなに死にたいか」
大河の目つきが急に鋭くなる。手乗りタイガーの本気だ。
細くてかわいい指をバキバキっと豪快に鳴らし、右手に本気のグーを作る。コレを食らったらおそらく6時間後まで目覚めまい。
「ま、待った!他にも客がいるんだし騒ぐのは止めよう、な!」
「……っち。…あんただってこの主人公そっくりよ。妙に尻にしかれてるところとか」
「…お前は尻に引いてる自覚はあったのか」

なんだかんだ文句を言いながらも、『とらドラ?』を読み進めていくのだった。
読んでいくうちに話は急展開。主人公もヒロインもお互い自分たちの本当に好きな相手に気づき、気持ちのすれ違いはいくつもあったものの最後は2人が結ばれてハッピーエンド、というものだった。
まるで自分たちを知っている誰かが描いたかのように、内容は竜児と大河にそっくりだった。……二人が結ばれる、という点以外は。
「……これは、遺憾だわ」
大河が呟く。
内容も絵も悪くないのだ。むしろこれは傑作と呼ばれる部類に入ると思う。
……ただ、内容の状況が自分たちにかぶりすぎなのだ。

「お、俺飲み物とってくる!」
「ちょっと待って、私まだ全部飲んでな……っ」
「…っ」

気まずくなった雰囲気を変えるため、飲み物を取りに行こうと大河のコップに伸ばした竜児の手と、残りの分を飲み干してしまおうと伸ばした大河の手が触れた。
いつもならなんでもないはずのやり取りのはずだが、『とらドラ?』によってお互いがお互いを意識してしまっていたこの状況。
…二人とも、電撃でも走ったかのように手をサッと引っ込めてしまったのだった。

「わ、わりぃ大河……」
「……あんたが悪いんじゃないわよ。…ったく、この漫画のおかげで変な気分だわ」
「おう、俺もだ…。でも……あ、いや、なんでもない」
「なによ。男ならハッキリ言いなさいよ」

「……お前は怒るだろうが、こんな未来も悪くないんじゃないかって思ってな。川嶋の別荘に行く前の警告夢を思い出してたんだ」

本音だった。
大河と一緒に過ごす今の暮らしが続く。
そんな当たり前のことが当たり前で無くなってしまうことが、逆に恐ろしかった。
これが恋愛感情かと言われれば……それはよく分からないが。
やはり大河にとっては気に食わなかったのか、眉をひそめてしかめっ面になっていた。

「……竜児がそんな風に思ってたなんて意外だわ。でも、あんたみのりんが好きなんでしょ」
「おう。……好き、なんだろうな、よくわかんねえ」
「そんな気持ちでみのりんに惚れるのは、私が許さないわよ。心配しなくてもあんたとみのりんは似合ってる。あんたの良さは私が保障する」
「…俺が櫛枝と上手くいったら、お前はどうするんだよ?」

「そんなの、決まってるじゃない。……邪魔者は消えるだけよ」

「……っ!そんなのっ!一人じゃ飯もロクに食えないお前をほっとける訳ないだろ!」
「私はね、竜児。みのりんに幸せになって欲しい。あんたにはそれが出来ると思ってるのよ。だから私は大丈、」
「大丈夫な訳ねえ!それじゃあお前が幸せになってねえじゃねえか!お前の幸せはどうすんだよ!!お前の気持ちはどうなんだよ!?」
「私、は……っ!うるさいっ!なんであんたに私の気持ち言わなきゃいけないのよ!」
「俺はお前の傍を離れねえ、それが俺の気持ちだよ!お前は、どうなんだよ!」
「…っ!わ、私だって……っ。あんたが好きよ!でも、それじゃ駄目なの、私がそれを願っちゃいけないの!」
「……っ、大河…」

大河は、誰よりも優しい奴なんだ。
今だって自分を犠牲にして竜児の為、櫛枝の為とそれだけしか考えていないはずだ。
自分が傷ついても他人を幸せを願うこいつが、どうして幸せになれないんだ。
誰が、大河を幸せにできる?

……そんなの、簡単だ。それが出来る奴はここにいるじゃないか。それが出来るのは、高須竜児だけじゃないか。

こちらを見ようともしない大河を抱きしめる。
暴れようが殴られようが、離すものか。

「なにすんのよ変態!離せ!」
「なあ大河、俺の幸せを願ってくれるか」
「……。…そんなの、当たり前じゃない。遺憾だけど、……誰よりも幸せになって欲しいと思ってる」
「なら、ずっと傍に居てくれ。…大河に、ずっと傍に居てほしいんだ」
「…っ。竜児……」

二人の心臓の鼓動が、重なる。
気持ちをぶつけ合って、分かりあって。お互いがお互いを望んだ。
そして、唇も、重なる。

大河は涙を流していた。
その涙が自分の願いが叶ったからなのか、親友への裏切りの罪悪感のせいなのかは竜児には分からなかった。
ただ、竜児はこれを望んだのだ。
大河も望んでくれたのだ。
だから、いつかきっと大河と笑ってキスが出来るようになると、思う。

 


ガチャ。
「お~客様ぁ~、他のお客様~もいらっしゃるので大声を出すのはおやめくださぁ~い。それとここはぁ~漫画を読む場所なのでそういう行為もおやめくださぁ~い」
……竜児と大河がキスをしている部屋に、ダンディリズムでいい声が響く。


まだ入室してから3時間も経っていないのに、二人はすぐに漫画喫茶を出た。
羞恥心でいっぱいで、だけどMOTTAINAIとは思わなかった。
お金では決して手に入らないものを見つけることができたから。

そうして世界は今日も平和に、少しだけ幸せを増やして一日を終えていった。

 

 


end

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プロフィール
HN:
155 ◆p9YEao7oZg
性別:
男性
趣味:
とらドラのSS書き
自己紹介:
大河超可愛すぎ

竜児と大河に幸あれ

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